- E3−4B
シーズンが終わったとき、昨日の敗戦はどんな位置づけにされるだろう。それくらいインパクトの大きい敗戦だった。
エースを見限る
この日の則本は初回から飛ばしていた。
いつも初回に打ち込まれて失点しまう、とりあえず初回を乗り切ることに全力投球だ、初回を乗り切ったあとは行けるところまで行くだけ....、そういう「背水の陣」の気合は見えた。
それが功を奏したのか、ラッキーなプレーにも助けられ、先頭打者を打ち取れていた序盤は無失点でなんとか切り抜けた。初回に限って言えば、ストレートも走っていたし、変化球も切れていたように見えた。
しかし、運がいつまでも味方してくれるはずがない。4回表の先頭・大城を出塁させると、そこから流れは変わった。まさに実力勝負の展開になったが、中川、吉田と連打されてたちまち逆転を許す。もはや、則本にオリックスの主力と渡り合えるだけの地力はなかった。
で、この回、どうにかこうにか2失点で切り抜けるも、5回のマウンドに則本の姿はなかった...。
主力選手には異常なまでの信頼を寄せる石井監督も、さすがに、なんちゃってエース(則本)は4回2失点で見限った格好だ*1。このタイミングでの継投は、今の時期のゲームの重要さを監督が采配(態度)で示したということだろう。エースといえども、使えないやつは切る、そういう覚悟、姿勢、態度である。
で、この継投は当たった。5回に則本からスイッチした安楽がテンポよく3者凡退でゲームを建て直す。昨日のブログに石井マジックは期待した選手を期待どおりに働かせることだと書いた。しかし、これも石井マジック、いや、マジックと言わないまでも、これが石井監督の「瞬発力」なんだろう。
4回裏の攻撃でキャッチャー太田のところで渡辺佳明を代打に出し、渡辺は逆転タイムリーを打った。
松井裕樹が打たれる
しかし、この「瞬発力」は9回表、守護神の松井裕樹が逆転されて、「(石井)マジック」に変われず終わってしまった。
エースを見限って継投に出たあと、なかなか追加点が取れずに1点リードのまま迎えた9回表だった。今シーズン、抜群の安定感を誇った守護神・松井だったが、勝たなければならないという周りの空気と悪天候が影響したかように荒れていた。そして、まさかの逆転タイムリーへと展開。
先頭の中川を三振に討ち取ったところまでは順調だったが、その次の吉田、頓宮と連続四球で歩かせたところから暗雲が立ち始める。ホームランを打たれたことのある安達を見逃し三振に討ち取って2アウト、ここで迎えた西村はこの日ヒットがなかったが、代打は出されず。その西村が逆転の2ベースを打った。*2
これが中嶋マジックか...と思ったら、中嶋監督はコロナ離脱中で監督代行だった。これが野球だ。人間がやるスポーツだから、ときに人間臭い展開になる。
浅村が送りバント、しかも失敗
で、1点ビハインドで迎えた9回裏の攻撃。先頭の西川がヒット、小深田も相手エラーで0アウト1、2塁のチャンスを作る。そして3番浅村だった。このとき、守備固めで島内は抜けていた。浅村一人のバットに期待がかかる。
ところが、浅村が(勝つために)取った行動は送りバントだった。これはサインではないだろう。瞬発力を発揮中の石井監督と言えども、浅村に送りバントのサインはさすがに出すまい。というか、バントさせるなら代打を出してやらせるだろう。
事の真相は不明だが、いずれ浅村の送りバントはフライアウトで失敗。そしてこのバント失敗で楽天に来かけた流れは完全に切れた。浅村には迷いがあった。自分のバットでランナーを還すか(還せるか)、自分のバットでチャンスをつぶすかもしれない(つぶしてはいけない)、ならどうする...。
浅村のバントは、チームに勝利は残せなかったが、「勝ちたい」「勝とう」という強い気持ちは残した。(...と思うしかない。)
守備固めで入っていたカズキの代打・茂木が三振、守備の反応といい、バットコントロールといい、シーズン終盤に来て劣化著しい銀次も見逃し三振でゲームセット。
エースを見限って勝負に出たが、結果は実らなかった。気持ちばかりが空回りしていた。が、これも「石井マジック」の舞台設定かもしれない...。残り27ゲーム、舞台設定に使えるゲームはあと数試合...。というか、そろそろいいんじゃないか。