石井監督が三木監督を2軍監督へ戻した経緯についてコメントしていたので、そこだけ抜粋。1年前、石井監督が記者たちに配った「平石監督退任の経緯」ペーバーと比べてみたくなったのだ。
――世間をアッと言わせた三木前監督からの交代劇。“監督石井一久”を指名した石井GMの決断の理由を教えてください。
「基本的に監督の人事というのは、成績では決めていないです。もちろんそのシーズンの戦力を分析して、戦力的にはこれくらいの順位にいける、それくらいの戦力は整っているという判断の中での話ではあります。
でも、順位を上げた、下げたということはあまり基準にはならない。僕だけの意見で監督を辞めさせるというのはないですけど、ただ1つ、4位だからクビになった、3位だから交代だというのではない」
――ではどういう基準で三木前監督の交代を決めたのですか?
「シーズンが終わって三木とは『どうだった? 』と話をしました。彼は『非常に難しいところがあった。やっぱり一軍の監督としてはピッチャーの交代だったり、いろんな場面での選手起用で難しいところがありました』という話をしていた。僕は彼は野球観がすごくしっかりしていて、厳しさも備えているいい指導者だと思っています。
ただ、二軍で指導していたときは、二軍の選手は大体スケジュールが決まっている。先発は何回投げて、2番手は誰がいってとか、ある程度決まっているんですね。それが一軍では試合の流れの中での瞬発力が大事になってくる。そこが難しかったのかな、と。僕から見ていても、そこら辺が今シーズン、うまくできなかったというところはあった。そうだったらまた学べばいいということなんです」
――それでも昨オフに一軍監督に抜擢しながら、わずか1年で再び二軍監督に戻すというのは異例と言われても仕方ない。
「僕は監督をする人とは、就任をお願いする前に必ず面談をして、細かく僕の考えや球団の考えを話しています。そのとき話すのが『監督は最後のポストではないよ』ということなんですね」
――キャリアとしてということですか?
「いまの野球界は監督をやったら、その球団でのキャリアとしたら上りで、次は辞めないといけないとか、球団に残っても名誉職だったりとかになっていく。でも僕は監督をやった後でも、二軍監督をやってもらうかもしれないし、僕みたいにチームの編成をやってもらうかもしれないと考えている。
1回外に出て、もう1回中に入ってもらうかもしれない。『そういうものをひっくるめての契約だよ』と。これは平石のときから、必ずそういう話をした上で監督を引き受けてもらっているんですね」
最終的に彼が監督というところを望んだ
――監督を引くことで再チャレンジもあるということ?「三木のキャリアも僕は尊重してあげたい。それならもう1年、一軍でやらせて経験を積ませて、もっと学ばせればいいじゃないかという話もあると思います。ただ、このまま三木が一軍で監督を続けたときに、逆に彼のキャリアが終わってしまうんじゃないか、ということもある。
それで今回も三木には何通りか提案をしました。フロントとして僕みたいに普通にポロシャツ着て、外から1回野球を見てみてもいいよねという話もしました。采配だったり、投手起用だったりの難しさをすごく感じた1年だったら、そうやって外から野球を見て、こういう考え方があると学んでみてもいいよね、と。
ユニフォームを着続けたいなら、二軍監督でまた若手と一緒にやるのもいいね、と。そういうコミュニケーションをとった上で、最終的に彼が監督というところを望んだということでした」
で、思ったこと。
- 石井監督(GM)の「監督は最後のポストではないよ。」という考え方は平石さんのときからあったようだ。ぶれてなーい。
- 平石さんのときのペーパーにも「監督が最後の職だという古い考え方は持っていません。」という記載がある。
- 平石さんにも何通りかの提案を与えていたかは不明。
- 平石さん退任のときは、石井さんの頭の中に「三木に一度一軍監督をやらせてみたい。」という思いがあった。そこが今回との一番の違いだな。
- 三木さんへの提案の中に「一軍監督を続ける」というのも入っていたのだろうか...。
- (三木さんが1軍監督を続けたときに)キャリアが終わってしまうかもしれないという言い方をしているから、「一度離れてみるのもいいよね」的な提案の仕方だったかもしれない。
- で、三木さんには石井監督の意図が伝わったということだな。
- では、平石さんにはなぜ伝わらなかったか?
- それは「三木監督」構想がすでにあっての提案だったからだろう、たぶん。
- 平石さんのときのペーパーには「(指導者としての)得意分野」の話があった。あの時点で野球観は平石よりも三木が上、というか「自分に近い」というのが石井さんの評価としてあった。それが平石さんに伝わってしまったということだろう。
- あと、平石さんは(石井流にいうと)「ノーマルな考え方が好きな人」だったということかな...(石井監督のニューノーマルを素直に受け入れられなかった...みたいな)。
- ただ、平石さんが残っていたら、いずれ一軍監督返り咲きは十分にあったくさい。
- 結局、それぞれの「(指導者としての)得意分野」のどっちが監督業に有利に働くかは不明ということだ。それぞれに足りないところがあったということ。